ほんわかする人
一緒にいるとほんわかする人がいる。
朝、挨拶するだけで嬉しくなってニコニコしてしまう。
話しかけると必ずニコッと笑ってくれて、心があたたかくなる。
そういう素敵な人と出会えて幸せだと思う。
奇跡だと思う。
そう思う感性を持つ私自身も、とても素敵だと思う。
そんな人になりたいなあと思うけど、実はもう10年以上前からそんな人になっている。
高校時代からの唯一の友人は、私に会うたびにそういう言葉をかけてくれる。
私は「嘘だあ」と彼女の言葉を受け取れなかったけど、彼女にとっては真実なのだろう。
振り返ってみると癒し系だとか安心すると言われることが多かった。
幼い頃は自然とみんなの中心にいてリーダーのような役割をすることも多かった。
人見知りで引っ込み思案、自信のなさも相まってリーダーの役割をする機会はだいぶ減ったが、安心感を与える雰囲気は今でもあるようだ。
いつも頼られる存在できちっとしている職場のお姉さんは、私と二人でいるときだけはだらっとした姿勢でぼそぼそとつぶやくようにしゃべることがある。
休憩中でもほかの人がいるときは絶対に見せない、絶対に家でしかしない態度だろうと思う。
それを私には見せてくれるくらいリラックスしていてくれるのは、すごく嬉しい。
人の話をしっかり聞くというのも、安心感につながるのかもしれない。
長年人と話すことに苦手意識があった私は、せめて話を聞いていることを相手に伝えるために、相手の目を見てしっかりうなずくという聞き方をするようになった。
どうやらこれはなかなか特殊な聞き方らしい。
多くの人は人の目を見て話しを聞くことなどあまりないそうで、私と話すときはしょっちゅう目が合うからきちんと聞いてもらえている感じがして嬉しいと言われたことがある。
話を聞いてるよ、と伝えることはできていた。
さらにもうひとつ心がけるようになったことがある。
どんな話も否定しないということだ。
V6のイノッチは、誰のどんな話でも必ず「いいね~」と褒める。
一般的な考え方だと眉をひそめるような内容だったとしても、視点を変えていいところを見つけたり、ユーモアを交えて和やかな雰囲気に変えてくれる。
人それぞれいろんな考え方があり、それぞれの正しさや正解がある。
ひとつの視点からではなく、いろんな視点から考えて「なるほどね」「それもいいね」と話を聞く姿勢がとても素敵だと思った。
V6のメンバーで話し合いをするときも、メンバー同士で意見が違うときにイノッチがそれぞれの意見を「それもいいね! そっちもいいね!」と聞くらしい。「じゃあそれとそれをこうしたらどうだろう?」とみんなの意見を反映した折衷案も出してくれるという。
素晴らしい才能だと思う。まあ健ちゃんはそんなイノッチのことを「折衷案を出すだけで自分の意見は何もない」「乗っかってるだけ」と評していたけれども。
年の差のあるトニセンとカミセンをつないでいたイノッチならではのコミュニケーション術だなと思う。
正直ここ最近はそんな余裕はなかったけれど、ギスギスイライラして自分の正しさを押し付けるよりも「あれもいいね。これもいいね」といろんなことに目を向けられる人でありたい。
もともと私がいたのはそういう場所だった。
今いる場所もそういう場所だ。
だからほんわかする人がそばにいてくれている。
私にそっと気をまわしてくれる人たちがいる。
そういう人たちに囲まれていることはとても有難いことなんだと再認識するために、あの地獄のような環境にいる人たちと出会ってしまっただけ。
もういない、私には合わなかった人たちに意識を向けるより、今私の目の前にいる素敵な人たちを見ていきたい。
きっと戻れる。