幼馴染

 

幼馴染の両親が、何年か前に離婚した。

母親同士が仲が良く、その話ももちろん母から聞いた。

その時はふーん、としか思わなかったが、どうやら父親はモラハラだったそうだ。

あっさり離婚できることになった私と違い、かなり揉めてなかなか離婚できなかったらしい。

本格的に離婚に向けて動き出したのは子どもたちが成人した後だと思うが、それ以前からモラハラは当然あったのだろう。

子ども二人を立派に育て上げるまで耐えた彼女は凄すぎる。

 

同級生とは高校が別になってからは全く接点がなくなった。

私がよく知っているのは中学生までだが、勉強も運動もよくできる、いわゆる優等生だった。

性格も良く、素直で優しいはにかみ屋だった。

彼もモラハラを受けていたのかは知らない。

だが人の気持ちに鈍感な様子はなかったので、両親の不仲には気付いていたと思う。

モラハラは受け継がれてしまうものらしい。

彼のあの人当たりの良さも偽りで、家の中では好き放題に振舞っていたのだろうか。

その可能性を確実に否定できないことが少し悲しい。

 

私の記憶にある彼のお母さんはとてもきれいな人だった。

いつも明るく笑っていて、身だしなみもきちんとしていてとってもオシャレ。

当時もモラハラの攻撃を受けていたのだろうか。

だとしたら私には到底及ばないほど強い人だなと思う。

たった半年モラハラ夫と過ごしただけで体調を崩し身なりに気を遣う余裕がなくなった私にはとてもじゃないけど真似できない。

子どもたちの世話も抜かりはないように見えた。

お弁当もきちんと作るし、厳しく叱る姿も見たことがある。

彼を接しているとお母さんのことが大好きなんだなと感じる瞬間が幾度もあった。

それだけで、彼のお母さんが彼にたっぷりと愛情を注いできたことがわかる。

 

人当たりの良いあの頃の彼が本来の姿でありますようにと願わずにはいられない。

母の愛が子どもたちをモラハラの連鎖から守っていますように。

モラハラをしない、強くて優しい彼のままで幸せになっていてほしい。

そして彼のお母さんも、ようやく取り戻した自分の人生をしっかり楽しんでいたらいいなと思う。